『ロングマン英語ハンドブックシリーズ 新エッセンシャル英熟語ハンドブック』ロバート・J・ディクソン、大島好道(ピアソン・エデュケーション)

『ロングマン英語ハンドブックシリーズ 新エッセンシャル英熟語ハンドブック』Robert J. Dixson、大島好道(ピアソン・エデュケーション、2001年1月)
イディオムを強化して効果的に英語力をアップ!!
権威ある英語教材執筆者によってがまとめた熟語集”Essential Idioms in English”を日本の学習者向けに日本語訳をつけて編集したのが本書です。
全体は大きくレヴェル順に「Elementary」「Intermediate」「Advanced」のセクションに分かれます。各セクションには13のLessonが収録されています。
各Lessonの構成は以下のようになります。まずイディオムが12個紹介されます。左ページが英語の単語や例文で右ページが日本語訳と解説になっています。左ページのそれぞれのイディオムのコーナーは、まずイディオムが提示され、その横に英語でのイディオムの意味が載っています。その下に2つか3つの例文があります。右ページには、それらに対応した単語と例文の日本語訳、それに簡単な解説があります。イディオムの紹介後には、”Exercises”として練習問題が2題か3題あります。問題の形式は、序盤は同じ意味のイディオムの選択や空欄の記述ですが、後半は単語のイディオムでの言い換えや質問への解答など難しくなります。
最初は中学レヴェルのイディオムですが段々と難しくなっていきます。”Advance”では、口語的だったり文語だったりする高度なイディオムが出てきます。
ただイディオムと例文、問題が続くシンプルな教材です。
重要なイディオムの選択が正確なこと、英語でのイディオムの意味が載っているので英/英でイディオムを理解ですることで他の単語やイディオムとの関連を理解できること、それらが本書の特徴です。
イディオムは単語と違い、コンテクストや構成されている単語での意味の理解が難しい場合が多いので、英語力をアップさせるのにイディオムの学習は効果的です。
本書は、英語中級者から上級者にステップ・アップしたい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!

『バーナード先生のネイティヴ発想・英熟語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社)

『バーナード先生のネイティヴ発想・英熟語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社、2003年10月)
句動詞の持っている根源的な意味や機能を理解する!!
動詞と前置詞あるいは、副詞から構成されるイディオムである句動詞の原理について書かれた本です。
全体の構成は以下のようになっています。
第1章「英語は空間が大好き!」では、英語では前置詞とそれの後に続く語との空間や時間の意味における結びつきが重要であることが述べられます。
第2章「これは前置詞?それとも副詞?」では、句動詞の存在理由と前置詞と副詞の同一性と区別の仕方、役割の違いについて解説します。
第3章「句動詞とは何だろう?」では、句動詞を形の上で5つに分類します。
第4章「句動詞の性格を一目で理解する」では、句動詞の仕組みを7つに分類して、「シンボルグラマー」という記号を用いて分析します。
第5章「基本動詞と基本パーティクル」では、よく用いられるパーティクル(前置詞と副詞)と基本動詞の句動詞の数を分析して、句動詞の「意味の生産性」について述べます。
第6章「パーティクルの王様’OUT’と’UP’」では、最もよく用いられるパーティクルであるOUTとUPの基本的な意味と句動詞における派生的な意味のあり方を考察します。
第7章「’GET’の意味を正しく知る」では、GETの多様な意味による理解の困難さとGETを使った句動詞ではパーティクルが強い意味をもつことが述べられます。
第8章「プラス/マイナスそして次元」意味的に対立するパーティクルのペアをプラスとマイナスに分けて、句動詞の意味の違いを理解します。
第9章「日本語から逆方向に考えると」日本語の動詞を分解して英語の句動詞と比較しながら、互いの意味の対応を紹介する。
第10章「句動詞のエキスとは何だろう?」句動詞の原理的な5つの意味を理解することで知らない句動詞の意味が特定できることを提案します。
第11章「意味の地図をつくろう」では、前章で紹介した5つのカテゴリーとその下位にある33のサブカテゴリーによって句動詞の意味の広がりを意味地図と理解することで句動詞の意味の記憶の定着のあり方を説明します。句動詞の動詞とパーティクルの意味の比重の重さによる意味の違いを説明します。
巻末には、重要句動詞の一覧と日本語と英語の索引があります。
本書は暗記系の参考書ではなく、読み物形式で言語学的な英語の句動詞の機能や意味の原理について解説しています。
タイトルに英熟語とありますが、コロケーションやイディオムとは言い切れない句動詞を扱うなど、通常の「英熟語」とは少し扱う範囲が違います。ですが、それによってイディオムの根本の原理や作用を解体して理解することができます。「ネイティヴ発想~」というタイトルですが、この本の解説は、ネイティヴでさえ意識的には理解していない無意識化での言葉の作用について解説しています。ネイティヴが無意識かで理解している英語の潜在的な構造や意味の力学を理解できます。
文章としては読みやすいですが、内容はやや高度で英語を一定程度マスターした中級者~上級者向けの一冊です。
イディオムを暗記したり、『システム英熟語』や『”英語のしくみがみえる”[基本動詞+前置詞]イディオム1000』のように動詞や前置詞のイメージで理解するのではなく、さらに深くイディオムをその根本の機能から理解してさらに英語力を向上させたい方にオススメです。
Goobye!! See you again!!

『私の英語熟語帳を公開します!尾崎式の秘密』尾崎哲夫(幻冬社)

『私の英語熟語帳を公開します!尾崎式の秘密』尾崎哲夫(幻冬社、2004年9月)
ノート風の記述で熟語をイメージで整理して理解!!
筆者のメモノートをベースにした英熟語参考書です。
全体の構成は、「熟語」「看板コラム」「標識コラム」「単語」に分かれます。全体は326ページで熟語は200ページほどを占めます。
本文にある「熟語」編では、見開き2ページがひとつのチャプターになっていて、ひとつか複数の動詞、前置詞、語法、意味やシチュエーションのテーマが取り上げられます。
動詞や前置詞のチャプターでは、中心のあたりに円が描かれていてその中に基本のイメージとそれを説明するイラストが描かれ、そこから放射状に線が何本か引かれ基本的な意味別にボックスに分けられ熟語が説明されます。ボックスの中では基本的な意味に対応する熟語と日本語訳、例文とその日本語訳、注意が書かれます。
語法や意味、シチュエーションをテーマにするチャプターでは、さらにいくつかの意味やシチュエーション、用いる単語に分けて熟語と慣用句、関連表現、略語が掲載されます。
「看板コラム」では、看板や広告などの表現の意味を解体して解説して、文化的な感覚の違いや関連表現についても説明します。
「標識コラム」では、標識の語句の意味とそのを構成する単語の意味を簡単に表示します。
「単語」では、シチュエーション別に分かれて複合語とその意味、例文が掲載されています。
本文の「熟語」編では、ノートを再現したエディトリアル・デザインがされていて熟語とそれを構成する語の意味やイメージを立体的に理解することができます。複合語や看板、標識、慣用句も広く意味の熟語、文化的なイディオムと捉えて掲載されているのも本書の特徴です。
レヴェルは英語力がある中級者向けです。既存の一覧で掲載された暗記向けの熟語集ではなく、ノート形式の記述で熟語のイメージを立体的に理解したり、知識を整理したい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!