『英会話・ぜったい・音読・入門編 英語の基礎回路を作る本』國広正雄、久保野雅史、千野潤一(講談社インターナショナル)

『英会話・ぜったい・音読・入門編 英語の基礎回路を作る本』國広正雄、久保野雅史、千野潤一(講談社インターナショナル、2001年4月)
音読を繰り返すことで、聴ける・話せる感覚を身につけて、英語再入門!!
読んで内容がわかるテキストの音読を繰り返すことで英語身につける参考書です。テキストは中学1~2年の英語教科書から大人の興味に耐えうるものをピック・アップしています。そういった簡単なテキストの音読を繰り返すことによって、False beginner(学習を再度開始する人)が「英語→日本語→イメージ」の英語を読める・書ける感覚ではなく、「英語→イメージ」の基礎回路をつくることで聴ける・話せる感覚の基礎を身につけることを目指します。
全体の構成は、筆者の提案する英語学習の方針や方法を解説した「トレーニングを始める前に」、トレーニングのためのテキストが収録された「実践編」、トレーニング記録の方法とフォームが収録された「巻末記録」に分かれます。
実践編は12のLessonにわかれます。各レッスンには、CDのトラックに対応した2つから4つのTRACKが収録されています。それぞれのページには英文テキストと下部に「WORDS」として、単語・イディオムとその品詞と意味が掲載されています。「トレーニング・マニュアル」に沿って、やや手順は複雑ですが、このテキストのリスニングや黙読、音読を繰り返すことで、「英語→イメージ」の基礎回路を身につけていきます。
各Lessonのテーマは、「ハンバーガーショップで」「Welcome Aboard」「Halloween」「Ainu」「The United Kingdom」「Gestures Talk」「Good for the Earth」「The Hot Dog」「Here Comes the Elephant Train!」「A Dream Comes True.」「John Manjiro」「The Haiku」となっています。後半になるほど、文法やヴォキャブラリーは高度になってテキストも長くなっていきます。なぜか「日本」に関するテーマのものが多いです。
CD一枚付きで、「実践編」のテキストのナレーションが収録されています。ナレーションは複数の男女のネイティヴ・スピーカーによって行われます。一部、ネイティヴ・スピーカーではないナレーションもあります。
CD全体は27分とヴォリュームが少ないのが残念ですが、初心者があせらずにゆっくり集中して取り組むための工夫かもしれません。
英語から長く離れていて、勉強を再開される方にオススメです。学校英語・受験英語ではない、本物の実践的な英語の勉強の第一歩と手がかりになります。
「トレーニングを始める前に」には、どんな英語テキストやオーディオ・ブックにも応用が利く勉強法が解説されていて、後々にも役に立ちます。
Cheers!!

『知ってる英語なのになぜ聞き取れない? ネイティヴ発音・リスニング7つの法則』藤田英時(ナツメ社)

『知ってる英語なのになぜ聞き取れない? ネイティヴ発音・リスニング7つの法則』藤田英時(ナツメ社、2003年1月)
英語の音の変化を沢山例を通して学んでリスニングと発音を強化!!
実際に話される英語の音の変化を知ることで、英語のリスニングや発音を強化するための教材です。
全体の構成は「音が弱くなる」「音が短くなる」「音がつながる」「音が消える」「音が抜け落ちる」「音がとなりの音に似る」「音が別の音に変わる」「音の七変化のリスニングテスト」の8つの章に分かれます。巻末には「英語音声学 まめ知識」とINDEXがあります。
本文は見開き2ページが単位でひとつの音の変化を紹介します。まず右ページでは、「音変化の法則」として、ひとつかふたつの例を挙げて、いくつかの段階でカタカナとアルファベット、発音記号を挙げて解説を加えながら音変化を紹介します。例えば、「your」は「ユウワー your」→「ユア y’r」「ヤ ya」、「this year」は「ディス イヤー this year」「ディシュイヤー thisyear」「ディシュヤー thishar」となります。右ページ下部には「聞き取りのコツ」が解説されています。左ページ上部では、まず「発音のコツ」が解説されます。次に「例文」のコーナーで、左ページの「音変化の法則」で登場した単語やフレーズを使った短い例文が4つあります。その下には、発言が2行われる短い「会話例」とその日本語訳があります。
章の終わりには、「文法コラム」と「リスニングテスト」があります。
CD二枚付きでネイティヴ・スピーカーの男性と女性によるナレーションが収録されています。
まず日本人の女性によってページのタイトルである音変化の法則が読まれます。次に「音変化の法則」がネイティヴによって読まれます。変化の段階がそれぞれ一回づつ読まれて、発音の変化のあり方を聞き取ることができます。次に、例文が読まれ、会話例が読まれます。
女性の発音は綺麗なアメリカン・イングリシュですが、男性の発音がヤッピーっぽい感じだったりキザっぽい感じがして違和感があります。
それぞれのページを一度読んで、CDを聴きながら読んだ後、「音変化の法則」と「例文」をナレーションをまねて発音するという形で勉強していきます。
音の弱化やリエゾンを、沢山例を挙げて紹介している本です。リスニングだけでなく、発音も視野に入れてそれが解説されていることが特徴です。
カタカナで音変化の法則が書かれていて、それが英語の音そのものの理解や発音記号の理解を妨げてしまうのが残園です。
基礎的な発音をマスターしてスロー・スピードのリスニングはできるけど、スピードの速い英語やラフな発音の英語が聞き取れないという方に役立つ教材です。
Cheers!!

『VOA英語ニュース パワー・リスニング』小林敏彦(語研)

『VOA英語ニュース パワー・リスニング』小林敏彦(語研、2002年5月)
ガイドつきで本格的なニュース英語リスニングに挑戦!!
アメリカの国営放送VOAのニュースを素材にガイドをつけることで本物の英語のリスニング力を獲得するための教材です。
全体は1週間単位で学習する4つのWeekで構成されています。それぞれのWeekのタイトルは「Politics」「Business」「Life & Society」「Health & Environment」となっています。Weekにはテーマに関連する5つのDayが収録され、Dayには2つのUnitが収録されています。
それぞれのUnitは以下のような構成になっています。まずSTEP 1の「Listening Warm-up」では、ニュースに登場する7つの単語やイディオムとその英語での簡単な意味が紹介されます。これらを読んでイメージを膨らませてUNITのCDを聴きます。STEP 2「Listening for Comprehension」では、Task 1~3の3題の問題でリスニングの理解を問います。Task 1では、2つの英語のニュースの概要を問う質問に日本語か英語で答えるます。Task 2では、もう一度CDを聴いて、ニュースの内容を問う2つの正誤問題によってニュースの理解をテストします。Task 3では、さらにもう一度CDを聴いてから、空所のある3つの英文が出され、それぞれ3つの英文から空所を埋めるのに適切なものを選びます。STEP 3「Listening for Perception」では、2つのUnitのの短いUnitのところどころに空欄のあるスクリプトが出題され、CDを何度も聴いてその空欄を埋めていきます。次に、「News Script」としてニュースの音声の全文を表記したコーナーがあります。そして、スクリプトの日本語訳、「Vocablary Review」として、10のヴォキャブラリーが紹介されています。
CD1枚付きで、VOAの実際の放送を短く切り取って収録しています。それぞれのユニットは「Listening for Perception」で出題されないものは50秒から1分10秒ほど、出題される短いものは20~30秒となっています。英語教材としてクリアに発音されて音質が調整されたものを聴くのではなく、リアルな英語のナレーションが聞き取れることを目的としているので、CDの音声の音質は良くはないです。発音はアメリカン・イングリッシュで、スピードは速めです。
ニュースは、筆者によって日本人が聞き取りができなくても単語で内容が推測できるものではなく、純粋に聞き取り能力をテストすることができるものが選ばれています。
ナチュラル・スピードの本格的な英語ニュースを、さまざまなヒントや問題を頼りに聞き取ることで、リスニング能力を鍛えることができる教材です。筆者はTOEIC 500点以上の英語中級者~上級者を対象にしていると述べています。
英語中級者~上級者で、オーディオ・ブックや英語教材のリスニングはできるけど、ニュース英語のリスニングは難しいという方にオススメです。
Cheers!!