社会学用語集パート1 あ行

<アイデンティティ>エリクソン
客観的には人格の統合性と一貫性を示す概念。主観的には自分が自分であるという確信・感覚であり、自分の不変性と連続性を他者が認めているという確信・感覚に裏づけられる。

<アウトサイダー>H・S・ベッカー
特定の集団・組織・社会・時代の規範秩序や価値体系に順応しない者。インサイダーのレイベリングにより、局外的立場に身を置く。

<アダルト・チルドレン>
ギャンブルやアルコール、薬物などの問題を抱えた家族のもとで育ったため、自尊心が低く、人と親密な関係を築きにくく、他人からの肯定や承認を常に求める子ども。

<アノミー>デュルケーム、マートン
社会的規範の動揺・弛緩・崩壊による欲求や行為の無規制状態。デュルケームは『社会分業論』で、分化し社会的機能が不統合な状態を「アノミー的」とし、『自殺論』では、社会変動によるアノミー状態が自殺の社会的条件の一つだとした。マートンは逸脱行動の分析において<文化的目標>と<制度的目標>の矛盾から生じる無規制状態をアノミーとした。

<一次元的人間>マルクーゼ
現代社会は基本的対立関係を抑圧してしまう一次元的社会であり、政治闘争の領域は局限され、理想を求め現実を変革する欲求が抑制されるから、人の精神自身が一次元化される。現実に抗議しようとする否定的精神は後退し、<技術的合理性>と<対象支配の論理>によって成る肯定的精神が支配している。

<一般化された他者>G・H・ミード
認知または内面化される社会的期待ないし規範の総称。人はさまざまな他者、そして社会一般の役割期待の内面化を通して、社会的自我を形成する。

<インフォーマル・グループ>
官庁・経営体などフォーマルな組織内に生ずる第一次集団。フォーマルな組織がこれを意図的に管理できるなら、目的達成のための有力手段になる。

<インフォームド・コンセント>
医療の提供者が、患者の自己決定権を尊重するために、医療の内容を十分に明らかに説明したうえで、患者側の理解と同意を踏まえて医療行為を行うこと。

<エクイティ>

<エクリチュール>ロラン・バルト、デリダ
ロラン・バルトが共有的なラングと私的な文体の間で機能するとした歴史的連帯の行為。

<SSM調査>
「社会成層と社会移動」調査。戦後、国際社会学会により社会構造の国際比較のために進められ、日本では日本社会学会が1955年に第一回の全国調査を行った。

<エスニシティ>
エスニック集団への帰属の状態、エスニックな自己意識。エスニック集団は客観的には言語、宗教、歴史的集合体験等の文化指標による集団的境界をもち。主観的にはメンバーの所属意識により定義される。主観的意識が重要な意味をもち、民族的内実も所与というより選択の結果であることが多い。

<エスノセントリズム>サムナー
自民族中心主義。自らの人種・民族を美化し至上のものとし、他人種・他民族を偏見・差別の対象とする思想や生活態度。

<エートス>ヴェーバー
人の社会行動のゆくえを内側から規範する観念の束。当為的な倫理規則ではなく、自覚しえない、することのない規範。個人の内面だけではなく、集団や社会階層のうちに共有される。

<エリートの周流>パレート
エリートと非エリートとの人的交替が起こる現象。<集合体の持続の残基>と<結合の残基>という権力獲得のために力に訴える傾向をもつエリートの間で交替がおこるとした。

<エロス>フロイト
タナトスと対をなすニ大本能の一つ。結合と創造の力、生命を維持し豊かにするエネルギー。

<オートポイエーシス>マトゥラーナ、ヴァレラ、ルーマン
元来は、生体システムがそのシステムの要素を継続的に自ら再生産している様子をさす。ルーマンは、これを社会システムの時間化された要素に適用。

<オピニオン・リーダー>ラザーズフェルド
一般的には、学者や評論家など社会や集団で、意見の形成や表明の際に主導的役割を果たす人。社会学的には、ラザーズフェルドの提唱した<コミュニケーションの二段階の流れ>のなかにいて、マスコミからの影響を、集団内にパーソナル・コミュニケーションで伝達していく、中継機能を果たす人をいう。

<オルタネーティヴ・メディア>
社会運動との関連の中で、現代の支配的なメディアに対抗する機能と役割を果たすメディア。