『はじめてのロンドン イギリス英会話入門』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社)

『はじめてのロンドン イギリス英会話入門』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社、2005年5月)
ブリティッシュ・イングリッシュで作られイギリス文化が取り上げられた英会話ダイアログ集!!
全体は、day 1~4の大きなパートに分かれます。その中に一日のスケジュールに沿ったPartが収録されています。
各Partは、まずイギリス英語の「キーワード」が提示され、アメリカ英語との意味の違い、文化的な差異が解説されます。その次にこの本のメインとなる「ダイアログ」があります。「ダイアログ」では、まず状況が解説され主人公の美咲とイギリス人との会話になります。日本語訳も掲載されています。次に「ヴォキャブラリー」があります。ダイアログで出ていたものやダイアログのテーマに関連するヴォキャブラリーが紹介されます。各項目では、単語あるいはフレーズとその日本が訳、2つの例文とその日本語訳が書かれます。Partの最後には「豆知識」として、イギリス滞在に関する情報やイギリス文化や生活についての知識を紹介します。
CD一枚付きで各Partのダイアログのナレーションが収録されています。ナレーションはブリティッシュ・イングリッシュのネイティヴ・スピーカーが行っています。スピードはナチュラル・スピードで、ラフな日常会話でリエゾンなどの現象が起こって崩れている発音です。多分ネイティヴ・スピーカーだと思うのですが、美咲の声が甲高く「上品なブリティッシュ・イングリッシュの物まね」みたいな感じがするのが残念です。美咲の話し相手の発音は多様です。
ダイアログの内容は、イギリス留学の最初の4日間の行動が順に展開されていきます。美咲のコミカルな体験の様子や性格がおもしろいです。各ダイアログでアメリカンとブリティッシュで異なる単語が必ず取り上げられ、ほとんどのPartで美咲がその意味や文化の違いに気づいたり困惑するという”落ち”があります。主人公が女性で女性がおもしろく読めるように工夫されています。美咲の発音も女性には「かわいい」と捉えられるかもしれません。
ダイアログの難易度は簡単ですがCDのナレーションのスピードはナチュラル・スピードなので、本書のレヴェルは初級~中級です。高度な単語は使われていませんし、難しい口語表現があるわけではありません。ブリティッシュ・イングリッシュの発音や文法・語法に関する解説も一切ありません。この本は、他の教材を読んで既にブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識がある方が、ブリティッシュ・イングリシュの発音や聞き取りの能力を強化するのに適していると思います。
ブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識があってさらに発音や聞き取りの能力を強化したい中級者、イギリス文化に関心のある方、ブリティッシュ・イングリッシュが好きな方、特に女性にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!

『CDエクスプレス 英(イギリス)語』早川嘉春、ジョン・スネリング(白水社)

『CDエクスプレス 英(イギリス)語』早川嘉春、ジョン・スネリング(白水社、2004年4月)
ブリティッシュ・イングリッシュによる一般的な英語テキスト!!
ブリティッシュ・イングリッシュで書かれた普通の学校のテキスト形式のダイアログと文法の解説を中心とする英語参考書です。
全体は20のチャプターに分かれます。
4ページがひとつのチャプターになります。1ページ目はダイアログが載っています。2ページ目は、上部に「単語」として熟語を含めたヴォキャブラリーが掲載されていて、下部にダイアログの翻訳が載っています。3~4ページは「解説」になります。まず「文法的要素」としてダイアログに関連する文法と語法を解説します。「表現」では、ダイアログの内容やテーマに関連する表現を紹介します。「バリエーション」では、ダイアログに出てきた表現のシチュエーションによる様々な表現の仕方(丁寧な表現、率直な表現など)を紹介します。3~4ページでは、表現がアメリカン・イングリッシュと違う場合は解説がされています。2つのチャプターごとに2ページの練習問題があります。
CD一枚付きで、ブリティッシュ・イングリッシュの男女のネイティブ・スピーカーによるダイアログと「単語」、「練習問題」のナレーションが収録されています。発音は端正なブリティッシュ・イングリッシュ(クイーンズ・イングリッシュ?)です。
英語のレヴェルは中学卒業程度です。
ブリティッシュ・イングリッシュのテキスト形式の普通の総合的な英語参考書の類書はないと思います。
ブリティッシュ・イングリッシュで英語を学び直したい方にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!

『イギリス英語でとっさのひとこと』Cafeglobe.com、サマンサ・リーレンス(語研)

『イギリス英語でとっさのひとこと』Cafeglobe.com、サマンサ・リーレンス(語研、2003年8月)
リアルな今のイギリスの日常会話フレーズを収録!!
全体の構成は「じつは私……」「話があるんだけど……」「まさか……、納得……」「頑張ろうね、頑張ってね……」「うれしいな、よかったな……」「まいったな……、助けて……」「ああ腹が立つ、うんざり……」「困った人……」の各パートにわかれます。パートに分かれている意味がよくわかりません。でも、例えば「ああ腹が立つ、うんざり……」なら怒りや困惑に関連する表現が収録されている気がしますが、他のパートは……。
本文のページの構成は、1ページでひとつの表現を取り上げています。まず、メインのフレーズと日本語訳が紹介されます。その下には、フレーズを用いた2文から8文のダイアローグと日本語訳があります。次にフレーズの意味や使い方、シチュエーションなどに関する解説があります。ページ下部には、「こんな表現もつかえます」として、同じ意味の表現、関する表現、同じシチュエーションで用いる表現が紹介されます。ほとんどの右ページの解説と「こんな表現もつかえます」の間に「いまどきのロンドン」として、イギリスの現在の生活や若者文化に関するコラムがあります。
CD1枚つきで、ブリティッシュ・イングリシュのネイティブの複数の男性・女性によるナレーションが収録されています。発音は普通の(クイーンズ・イングリッシュやBBCイングリッシュではない)ブリティッシュ・イングリッシュだと思います。聴きやすいですが、発音がやや教材的で物足りない感じもあります。
「とっさのひとこと」というタイトルから旅行の英会話を思い浮かべるかもしれませんが、内容は若者の日常会話です。フレーズやダイアログの文は短くほとんど「ひとこと」という感じです。現在のロンドンの20~30代の若者が使っているリアルな口語が収録されています。スラングではないがジョークをメタファーや含んだようなラフな表現や会話が収録されています。日本では類書がなく、この本でしか読むことができないないようだと思います。ダイアログの内容自体は短いのでイギリス文化を取り上げている感じはありません。
コラムがおもしろく、これだけでも読む価値があります。普通のブリティッシュ・イングリッシュを聴ける貴重な教材でもあります。
ブリティッシュ・イングリッシュが好きな人、イギリスの文化やポップ・カルチャー関心がある方に、日常的な英会話のフレーズを学びたい人にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!